WEBマーケティング事業を行う株式会社ジオコードは、従業員にとって働きやすい環境をつくることで、「働きがいのある会社ランキング」で、4年連続ベストカンパニーに選出。前編では同社の働き方改革を取り上げましたが、後編では内定承諾後の入社率を90%以上にした採用戦略について、人事・広報担当の加藤康二さんに話を伺います。
【前編の記事】
人材紹介会社向けの企業説明会を開催
人事・広報担当の加藤康二さん
2005年に設立されたジオコードは、事業の拡大とともに従業員数も急増。2016年にはオフィスをJR新宿ミライナタワーに移転するなど、急成長を続けているベンチャー企業です。
同社では採用目標人数を設定せず、いいと思った人材はできるかぎり採用する方針だといいます。さまざまな採用手法を試したなかで、現在のジオコードと一番マッチしているのは人材紹介サービス。会社設立以来、人材紹介会社とのコネクションは増え続け、今では30社ほどの企業と関わりがあるそうです。
加藤さんは「自社にマッチした人材を紹介してもらうためには、紹介会社とのコミュニケーションを強化し、弊社に対する理解を深めてもらうことが重要です」と話します。
2017年からは、20社ほどの紹介会社を自社オフィスに招き、ジオコードのことをより理解してもらうための「人材紹介会社向けの企業説明会」を開催。
加藤さんは、「弊社では大手就活サイトよりも人材紹介サービスのほうが、費用対効果もよかったので、人材紹介会社との関係をより強固にするため、こうした説明会を行っています」と経緯を説明してくれました。
「説明会ではジオコードの事業内容や社風などを明確に伝え、『こういう人材を募集しています』ということを1時間ほどかけて、じっくりプレゼン。また、匿名でアンケートを採り、『どこをどうすれば、もっと紹介しやすくなるか?』といった具体的な改善点を募るなど、マッチング率を高めるための試行錯誤をつづけています。」
その結果、紹介母数や費用対効果は飛躍的に上昇し、2018年卒は過去最大となる25名ほどの内定者を出せたといいます。
ジオコードの新卒採用選考過程
採用集客の段階で自社に合った人材を紹介してもらう仕組みをつくったことで、採用ミスマッチを減少させたジオコード。さらに選考インターンを経ての内定承諾後の入社率は90%を越えるそうです。
ジオコードの新卒採用選考過程
(1)会社説明会兼筆記試験
(2)一次面接※説明会時に希望者のみ参加
(3)二次面接(マネージャー面接)
(4)2日間の選考インターン
(5)最終面接(社長面接)
ジオコードの「選考インターン」は、既存社員とのOJT形式で実際の業務に携わるなど一般的なもので、特別なことはしていないといいます。
「当たり前のことですが、企業がインターン生を選考しているように、インターン生も企業を吟味しています。私の知り合いの企業では内定承諾後の入社率は70%くらいだというので、内定承認をもらったらほぼ断られないという状況は喜ばしいことです。」(加藤さん)
また、選考中でも社長が絶対に内定を出すだろうという人材に対しては、面接回数を調整し、二次面接終了後に最終面接は行わず内定を出すこともあるそうです。
「1日でも早く結果を伝え、早期の囲い込みを狙っています。就活生にとっても時間の削減になりますし、内定承諾後の入社率も高くなる傾向にあります。普段の説明会は弊社の会議室で行ないますが、すごく優秀な人材がいたら執務室に案内して次回の面接官を紹介するなど、選考プロセスは臨機応変に対応しています。」
「友人紹介制度」でコスト削減
ジオコードは2012年に「友人紹介制度」という、紹介した社員に10万円~30万円が支給される制度をつくったそうです。
この制度について加藤さんは、「友人からの紹介ですと、弊社についてきちんと理解したうえで入社するので、ミスマッチは少ないです。紹介した側もされた側にも責任感が生まれるので、業務においても相乗効果を生み出してくれます」といいます。
友人紹介制度を社内認知させるために行っていることを尋ねると、「全社ミーティングや各部朝礼などで、定期的に『いい人がいたら紹介を!』とマネジメント層に言ってもらったり、ジオコード公式Facebookページでシェアしてもらったりと、社内に協力を仰いでいます」との回答。
これまでの採用数はそこまで多くないものの、コストを抑えたうえでいい人材を採用できたので、今後もこの制度は続けていくそうです。
ジオコードは従業員にとって働きやすい環境をつくり、人材紹介会社や就活生に自社をきちんと理解してもらうためにさまざまな取り組みを行った結果、採用ミスマッチを大幅に減らすことに成功。
最後に今後の採用課題について加藤さんは、「おかげさまで、若い世代のブランディングには成功しており、新卒採用は非常にうまくいっています。しかし、新入社員やプレイヤー層は揃いますが、マネジメント層が少ないのが課題なので、逆に若手にはチャンスが多いと思います。今後は即戦力の中途採用にも注力していきます」と語ってくれました。
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