働く社員とその家族を幸せにする制度やカルチャーを整えることで、事業拡大とともに起こるコミュニケーション不足や離職率上昇といった問題をあらかじめ回避している株式会社ウエディングパーク。
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後編では新入社員が経営者目線にたって新たな制度をつくる「せどつく」について、同社の保田誠一郎さんに引き続き話を伺います。
人事本部長 保田誠一郎さん
社内制度立案コンテスト「せどつく」とは
新しい制度をプレゼンする新入社員
「せどつく」は「制度をつくる」の略で、経営者や人事部が社内制度をつくるのではなく、新入社員が新たな制度を立案します。
ウエディングパークでは新卒採用をはじめた2012年から、「せどつく」を導入。毎年必ず新しい社内制度を1案採用するので、継続的に制度の数が増えていったと保田さんは語ります。
「入社してから半年間働き、会社のことを理解したうえで、『こういう制度があれば、よりいいんじゃないか?』ということを経営者目線で考えてもらいます。制度の考案に携わることで、新入社員にも自分たちで会社をつくり上げていくという意識を持ってもらいたいからです。」
「せどつく」はチーム対抗のコンテスト形式で行われ、チーム分けは人事部が担当。本社や支社、部署をまたいだ新入社員が4~5名のチームを組むことで、同期メンバーのコミュニケーション活性化も狙っているそうです。
各チームは1ヶ月ほどの準備期間を経て、経営陣の前で新制度案をプレゼン。優勝した案は社内でブラッシュアップされ、翌年には制度化されるといいます。
オリジナル家族をつくる「カレーファミリー制度」
「オリジナル家族」で定期的にカレーを食べに行く
「せどつく」から生まれた制度のひとつ「カレーファミリー制度」は、新入社員のための一風変わったメンター制度です。家長となる先輩社員と兄姉となる先輩社員がメンターとなり、新入社員と合わせて部署をまたいだ3人で構成される「オリジナル家族」を人事部が選抜し、定期的にカレーを食べる会を開催。別部署の社員同士を家族にすることで、直属の上司や先輩には話しづらい相談をしたり、社内全体のコミュニケーションを促進したりすることを目的にしたといいます。
各年の5月・7月・9月の計3回行われ、時間帯や曜日は各家族に一任。カレーを食べる場所は飲食店ならどこでもよいそうです。カレーを食べる費用は会社から支給され、既存社員に人気のある制度ですが、新入社員の数しか家族がつくれないため、今では参加したくてもメンバーに入れない先輩社員もいるのだとか。
会社の未来について語る「キャンプファイヤーデー」
非日常空間でディスカッション
同じく「せどつく」から生まれた制度の「キャンプファイヤーデー」は、「社内コミュニケーション活性化」と「経営視点の向上」を目的に2017年から導入。実際にキャンプファイヤーができるバーベキュー場で開催されたそうです。
当日は全社員を5~6名のグループに分け、「会社の未来を本気で考える」というテーマでディスカッションを行ないます。この制度も、グループメンバーは部署をまたいだ社員で構成され、縦や横だけでなく“ななめ”のコミュニケーションも強化。非日常的な空間で話をすることで、社内ではつくりにくいリラックスした雰囲気を演出しているそうです。
ディスカッション後には懇親会も開催
「せどつく」でつくられた制度はほかにもあり、始業時間の1時間前に出社した社員に朝食が無料支給される「8活」や家族へ感謝の気持ちを伝えるための特別休暇を取得できる「家族へありが10(ありがとう)」。社員の結婚記念日にお祝い金が支給される「祝って22(ふうふ)」など、数多くあります。
これらの制度を導入した結果、ウエディングパークのカルチャーはより浸透され、社員が急増したにも関わらずより一体感は強くなっていると感じるとのこと。
また、採用面でも効果を発揮しており、キャッチーな制度名は会社説明会でも就活生に関心をもってもらうきっかけになるなど、ブランディングの役割も担っているそうです。
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