国籍や、ライフステージの異なるメンバーを認め合って働ける環境を整えるため、バラエティ豊かな福利厚生プログラムを導入している株式会社エウレカ。社員のプライベートを充実させながら、キャリア形成もしやすくする制度とはどんな内容でしょうか?
今回は昨年11月に移転したばかりというオフィス見学と合わせて、人事企画の岡本玲美さんにお話をうかがいます。
グローバル展開を視野に入れた創業者の想い
ーー御社の事業内容を教えてください
株式会社エウレカは2008年に創業、当初はメイン事業として、広告代理事業をやっていました。その後、さまざまな事業を経て、自社サービスアプリの開発・運営へと転換。現在は、恋愛・婚活マッチングサービス『Pairs(ペア―ズ)』とカップル向けコミュニケーションアプリ『Couples(カップルズ)』の事業をメインに展開しています。
創業時は社員が3名、インターン生が10名くらいだった弊社も、現在(2018年3月時点)は約135名の組織になりました。
平均年齢は28.5歳。男女比はおよそ6:4となっています。
ーー御社にはさまざまな国籍の社員がいらっしゃるようですね?
全社員の1割くらいが外国籍の社員です。台湾、韓国、イギリス、オーストラリア、タイ、フィリピンとさまざまな国籍の方が働いています。
創業者・西川は、「日本だけではなくグローバルに活躍できる人材を輩出していきたい」という想いをもともと持っていました。恋愛・婚活サービスをグローバルに展開していくと考えた際に、さまざまな文化や価値観を許容する社風が整っていないと、いいプロダクトはつくれません。
意図して外国籍の方を多く採用している訳ではないのですが、さまざまな国の方がエウレカに加わってくれた結果、海外でのサービス展開も順調に成長しつづけています。
また、会社の成長とともにメンバーのライフステージにも少しずつ変化があり、その変化の中でも快適に働き続けてもらうため、少しユニークな福利厚生プログラムを導入しました。
福利厚生プログラム『baniera』とは?
ーー御社が2016年6月に導入した福利厚生プログラム『baniera(バニエラ)』について教えてください
『baniera』はギリシャ語で「お風呂」という意味。アルキメデスが浮力の原理を発見した場所はお風呂だったと言われ、そこで「eureka!(分かったぞ!)」と叫んだそうです。私の前任者が「ひらめきと成長を支える」というコンセプトをもとに、福利厚生プログラム『baniera』を設計しました。
弊社の社員数が30名から80名へと急増したのが2015~2016年。子育てをしながら働く方や、看護をしながら働く方など、ライフステージが異なる人たちも多くなってきました。
自身のライフステージや生活環境の変化によって、キャリア形成を諦めてしまうようなことはできるだけ除いていきたい。エウレカは、あらゆるバックグラウンドを持った人でも活躍できるようにサポートをしていきたいと考えています。
<baniera制度の一部を紹介>
◆結婚祝い(5万円+便利家電プレゼント)
結婚した社員には、会社から5万円の結婚祝い金と便利家電(上限20万円)を支給。夫婦で暮らし始めるときには、出費がいろいろとかさみます。お祝いと、少しでも新生活の負担や家事の軽減をしてあげたいという気持ちからこのサポートを始めました。
便利家電のリクエストでは、お掃除ロボットと乾燥機付き洗濯機などが多い傾向です。
◆祝!Happy pairs婚
エウレカには『Pairs』を利用しているメンバーも多く、『Pairs』を通じて結婚が決まった場合、上記の結婚祝いに加えて5万円分の買い物ギフト券をプレゼントしています。他の制度もそうですが、エウレカではメンバーのHappyなことはみんなで盛大にお祝いしたいという気持ちの表れですね。
◆出産応援休暇3日間
「出産応援休暇3日間」は男性社員が出産に立ち会いたいというとき、3日間の休暇を取得可能にする制度です。たとえば、まだ有給休暇が付与されていないメンバーが、出産に立ち会いたいという場合、これまでの決まりですと欠勤扱いになってしまう。気兼ねなく、しっかり奥さんのそばでサポートできるようこの休暇制度を設けました。
◆育休中1on1(イクワン)
待機児童問題でなかなか保育園入園が決まらない昨今、エウレカでは育児休暇はもちろん、ベビーシッターサポートなど、さまざまな制度を設けています。また、「育休中に職場の変化が分からず、復帰した際仕事についていけるかな……?」という不安を軽減するため、産休・育休中の社員が月に1回、上長と1on1で面談できる機会をつくり情報共有をし、復帰後のキャリアイメージをすり合わすなどしています。
面談場所は、自宅近くのカフェや、スカイプを使って自宅から行うことも可能。お子さんを連れて会社で面談することもあります。
◆オンライン英会話学習補助
グローバルな組織であるために、「本気で英語を学びたい」という社員に向けたサポートも行っています。オンライン英会話学習『Bizmates(ビズメイツ)』と提携し、月間受講日数が15日以上の社員のレッスン料は会社が全額負担をしています。弊社がニューヨークにあるIACグループにジョインしたことによって、ビジネス英会話が必要となる場面が増えています。今後もグローバル展開を広げていくためにも、意欲的に英会話習得を頑張っているメンバーにはこの制度でバックアップをしています。
◆海外カンファレンス参加費用負担
海外のカンファレンス参加を推進するため、参加者の往復航空券、ホテル宿泊費、カンファレンスチケット費用を会社が負担しています。メンバーがおもに利用しているのがApple社が毎年開催している「WWDC」と、Google社が開催している「Google I/O」というソフトウェア開発者向けのイベント。
世界的に有名な海外カンファレンスは基本的に抽選式なので、チケットが当選しないと参加できませんが、せっかく当選したのにも関わらず、渡航費などの出費がかさんで参加できないということは会社としては回避したいと思っています。
各イベント、毎年2~3名くらいのメンバーが参加しており、帰国後はどんなものが現在のトレンドの技術なのか、現場で感じたことなどを社内共有してもらうことになっています。
メンバーの力を最大限に引き出すための新オフィス
ーー2017年11月に、オフィスを外苑前から麻布十番へ移転されたようですね
はい、そうなんです。延床面積は以前のオフィスより約1.5倍広く、内装デザインはウッド調で統一しています。
では、新しくできた社内カフェからご案内いたします。
◆Archimedes Café
このカウンターは「アルキメデスカフェ」と呼んでいる場所です。移転のタイミングでコーヒースタンド『THE LOCAL』と提携させていただき、業務時間中はカフェスタッフがカウンターに常駐。本格的なコーヒーをリーズナブルな価格で楽しめます。
リーズナブルな価格でドリンク提供
スマートスピーカーと連携した注文システム
夜はBARにもなる
社内チャットから、「アルキメデスカフェ」へ注文することもできます。注文が届くとスマートスピーカーから「●●さんからコーヒーのオーダーをいただきました」とアナウンスが流れ、コーヒーが出来るとカフェスタッフがチャットで注文したメンバーへお知らせ。並ばずに出来立てコーヒーが飲めるという仕組みです。月に1回、社内交流イベントを開催し、夜はBARとして利用することもあります。
◆Akropolis
アルキメデスカフェの向かいにあるこちらは、フリースペース「アクロポリス」です。
ここでコーヒーを飲みながらひと休みしたり、ランチを食べてもOK。簡単なミーティングを行う人や、自席を離れて集中して仕事をするメンバーもいます。
◆Kairos
半個室型の集中ブースになっているのが、こちら「カイロス」です。全部で6席用意しています。
利用例を挙げますと、エンジニアが短時間でコーディングを完成させたいときや、上長が人事評価シートを作成するときなど、視界を遮って作業を集中して行いたいときに、この席に移って作業する人が多いです。
デスクは電動昇降式
このブースに置いてあるデスクはすべて、電動昇降式デスクになっていて、好みの高さに調整してスタンディングでも使えます。
◆Daraku
「リラックスして作業する場所も欲しい」という社内の要望に応えて、畳を敷いたスペース「ダラク」をつくました。
大きめのビーズソファでくつろぎながら作業することで、自席での作業とメリハリがつき仕事効率がアップしています。
◆Agora
ここは、100人収容可能な広さがあるセミナースペース「アゴラ」。月に1回の全社会や、エンジニア勉強会、社外の方を招待するイベントなどで使用しています。
エウレカのロゴとアルキメデスのイラストが描かれた卓球台も設置してあり、イベントがないときは卓球をして気分転換をしているメンバーも見かけます。
◆Panakeia
急な睡魔におそわれて仕事に集中できないときは、この「パナケイア」を利用することができます。眠くて仕事が手につかないまま作業を続けるより、20分ほどこの部屋でしっかり休んで、脳をスッキリさせたほうが集中力は増すので、短時間の休息をとることを推奨しています。また、カスタマケアチームが24時間365日稼働しているので、そういったメンバーにも配慮されたシステムになっています。
まとめ
『baniera』は岡本さんの前任社員が、実際に産休・育休を取得するとき、「ライフステージが変化してもキャリアアップのチャンスが減ることを極力減らすためにはどんな制度が必要だろう?」とじっくり考えて設計したものだと言います。
「長期的にキャリアを積み上げていきたいと、当事者となった社員がつくった制度なので、とても現実的な内容になっています。弊社は『すべての人が、人生の可能性を拓いていける世界をつくる。』をミッションに掲げ、人生を振り返った時に『あのとき、あのサービスがあってよかった』と、思ってもらえるサービスづくりをしています。なので、自社で働くメンバーが充足的な生活を送っていなければ、説得力のあるプロダクトを提供できないと思っています。今後も福利厚生はブラッシュアップしていく予定です。」(岡本さん)
事業成長とともに、個人の成長と組織の生産性を追求してきたエウレカの福利厚生とオフィスづくり。より優秀な人材へと成長し活躍できる環境を整えながら、グローバル展開をさらに進めていくためには、必要不可欠な施策のように思いました。