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優秀な人材を集客するインターンシップ!?CROOZの採用戦略とは?

CROOZ

イノベーションを生み出す優秀な人材を採用するために、インターンシップに力を注いできたというIT企業「CROOZ(クルーズ)株式会社」。2015年より新卒採用設計を担当し、学生の集客と採用を成功させてきた同社のプライスレス本部執行役員・諸戸友さんに今回お話を伺います。

これまで開催してきたCROOZのインターンシップとはどんな内容なのか、どんな戦略で学生を集めることができたのか。
インタビューの前編では「採用戦略」、後編では「離職率を改善した社内制度」について2回に分けてのインタビューです。

<後編の記事>


諸戸友さん

プライスレス担当執行役員・諸戸友さん

3年後の会社を考えた新卒採用

SHOPLIST

CROOZのメイン事業「SHOPLIST」

―――諸戸さんが新卒採用担当になられた2015年ごろは、どんな課題を抱えていらっしゃったのですか?

当時のCROOZは、ソーシャルゲームと通販サイト「SHOPLIST(ショップリスト)」がメイン事業で、3~5年かけてさらなる飛躍を遂げるべく、事業目標が急激に上がっているときでした。
SHOPLISTは、2007年新卒で入社しその後、全上場企業のなかで最年少で取締役になった張本を中心に当時の新卒メンバーが立ち上げたeコマース事業。たった5年で190億円事業にまで成長しました。

これからは、SHOPLISTと同じようなチームがもっと必要となってくる。そこで私が指標として掲げたのが、今後事業を生み出しイノベーションを起こしていけるような人材を新卒から採用していくこと。そういう人材を集めていけたら、3~5年後にSHOPLISTのような事業を増やすことも可能だと考えていました。

張本貴雄

取締役 張本貴雄さん

それまで行っていた「求人媒体で募集」という手法でも、いい人材が採用できてはいたんですが、よりイノベーションを生み出すような新卒社員を採用するためには、待ちの姿勢ではなくて、こちらから攻めていかなくては。

起業家の周囲にいる学生をターゲット

―――「攻める採用」とは、具体的にどんな手法ですか?

最初に、CROOZ主催の「ビジネスコンテスト」を毎月開催しました。最初の参加者は3人だけ。会場にはCROOZの取締役も出席し、参加者の事業プランに本気でフィードバックしていきます。たった一日のイベントなのですが、すでに起業している人やこれから起業したいと思っている学生の彼らにいろいろな気づきを与え、今後の活動に活かしてほしいというコンセプトでした。

これは決して、参加者を採用するという目的で始めていません。そもそもこのコンテスト参加者たちは就職するつもりがない、自分で会社を作りたい人たち。では、なぜその人たちをターゲットにコンテストを開催したかと言うと、起業家マインドの人たちの周囲には、意識の高い学生たちのコミュニティがあると予測していたからです。

XYZインターンシップ2015

まず起業家マインドの彼らが満足する、ビジネスコンテストを徹底して行おうと思いました。本当に事業を実現していきたい人たちに役立つフィードバックを1日かけてみっちりやる。これを継続することによって、最初は3人だった参加者が、口コミやSNS拡散で徐々に増加。すると自然に「ビジネスコンテスト以外に、就活イベントや採用インターンシップなどは開催しないんですか?」という声が挙がり、採用インターンシップも開催することになり、ビジネスコンテスト開始から10ヶ月後でここまで展開することができました。

―――ビジネスコンテストが、口コミで広まった理由はなんだとお考えですか?

CROOZのインターンシップの魅力は、社長や役員も参加し本当に事業化できるプランは実現させてくれるという本気度。実際に参加者が事業化までに至ったケースもあります。

このビジネスコンテストによってCROOZのブランド価値が広まり、次の年の参加者が増える。参加者の口コミでCROOZを知った、インフルエンサーとなる人材採用にもつながる。コンテストを始めた当時は仮説で進めていましたが、現在ではそれが確信に変わりました。

ただ、尖った人材だけが集まればいいとも思っていません。ヒーロー戦隊「ゴレンジャー」でいうと、5色の異なる個性が集まってはじめて強い組織ができる。そういうチームがいくつも社内にできるのが理想で、5人全員が赤レンジャーではチームは上手く機能しないと思っています。

目的を分けてイベントを開催する

―――ビジネスコンテストが、口コミで広まった理由はなんだとお考えですか?

地方行政と一緒に“持続可能なビジネスで地域課題を解決する”ことを目的とした「BIZ CAMP」や、クラブイベントのオーガナイザーや元ギャルサー代表など学歴一切不問で参加できるインターンシップ「脱CHARA」など、ほかにもいろいろ実験的にインターンシップを行ってきました。
最初のころは、面白いことをしている企業として注目を集めるように開催していましたが、CROOZの認知度も年々増していくなか、現在では入社に興味がある人たちに向けて意義のあるインターンシップにシフトしています。

2016年インターンシップ「脱CHARA」

実はある年の「XYZインターンシップ」で、事業化目的の参加者と、就活目的の参加者の割合が半々くらいになった回がありました。そのとき、内容が薄くなったと思ったんですよ。起業家マインドの人たちと、CROOZ入社に興味がある人たちでは、インターンシップに求めるニーズが全く異なります。明らかにこれまでの参加者の表情と違う、みんな不完全燃焼な感じ……。

このまま同じ開催スタイルでは続けてはいけないと思い、イベントと採用インターンシップは別々にしようと決めました。参加者全員の満足度が下がってしまったら、開催している意味がありません。

CROOZインターンシップ

シンプルな内容に進化した2017年インターンシップ

―――2015年当時と、現在では、採用課題も変化していますか?

会社の現状や経営ビジョンに合わせて、採用課題は毎年変化しています。2、3年前は尖った感じのメンバーをもっと増やしたい気持ちが強かったですが、現在は「SHOPLIST」をもっと大きく成長させることに集中しているときですので、尖った人材も必要ですが、それ以外にもチーム内のバランスを取ってくれるような人材を多く採用したい。採用したい人材に合わせた集客の仕方にも、今後より工夫が必要だと考えています。

次回後編では「離職率を大幅に下げた取り組み」について、ひきつづき諸戸さんにお聞きします。

<後編記事>