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「来たれ、素直な肉食系!」新潟県三条市の採用動画

「これが市役所のつくった採用動画!?」と驚いた映像があります。金属加工業をベースにした「ものづくりのまち」として新潟県の中央に位置する三条市。同市が制作した職員募集の採用動画は、保守的なイメージがある市役所らしからぬ内容になっています。

市役所が求める人材をラップでアピール!?

動画を再生すると流れる軽快な音楽。「来たれ、素直な肉食系!」と題したラップが始まります。

♪市役所?退屈そう?それは過去のイメージ 分権から創生 立ってる次のステージ
見据えるまちの行く末 築く価値の礎 俺に任せろくらいの それがプライド

韻を踏みながら音楽に合わせて紹介されるのは、地方の市役所職員ならではのやりがい。三条市役所での業務は退屈なものではなく、自ら考えた施策を現実のものにすることができると語られます。

三条市楽音祭
職員が提案し、実現された事業のひとつが、入場無料の野外音楽フェスティバル「三条市楽音祭」。若者と行政が一緒につくり上げるイベントとしてはじまり、来場者も年々増え続けているとのこと。

少子高齢化という課題のため

三条マルシェ

三条マルシェ

三条市は2005年に三条市、栄町、下田村の3市町村が合併し、現在(2017時点)の人口は約10万人。若手の人口流出、少子高齢化という問題に直面しながらも、「ものづくりのまち」として地域活性化の取り組みを行ってきました。

動画内では、地域の工場を一般開放した“ものづくり体験”ができるイベント「燕三条 工場の祭典」や、地元の食材や果物、スイーツなどが楽しめる「三条マルシェ」など、地域と共同で開催したイベントも紹介。「燕三条 工場の祭典」は、2016年に約3万5千人の来場者を集めたそうです。

民間企業志望者も興味をもった

来たれ、素直な肉食系!
そんな三条市が今求める人材は、素直な肉食系!
今までの市役所といえば変化に対して消極的で、自主性に欠けるというイメージを持たれがちですが、現在の地方行政に必要なのは「スピーディーで主体性のある行政の実現」です。そのため、基本的な資質である“素直さ”と、理想を追い求める“肉食系”の要素を併せ持つ若手人材を採用しなくてはいけません。

素直な肉食系
同市の人事担当者に、この採用動画の反響についてお聞きしたところ、前年度の応募人数と比べて1.25倍多い300人以上の採用応募があったといいます。就活生からは、「民間企業志望でしたが、動画を契機に公務員にも興味をもちました」、「地元の市役所を受けようと思っていましたが、三条市も受けてみたいと感じました」などの声もいただいたとのこと。

動画制作にあたって参考にしたのは、大手民間企業の採用動画。最近の傾向などを研究し、ラップを採用したそうです。その結果、昨年度の採用動画よりも再生回数は増加。それにともない、過去に制作した採用動画が再生される機会も増えたといいます。

三条市では2011年から、公務員試験対策を必要とする「専門試験」「教養試験」を廃止し、徹底した人物重視の採用を行っています。UターンやIターンという言葉も一般的になった現在の採用環境。地方の自治体も若手人材確保のために、新しいPR方法を模索する時代が訪れたのかも知れません。