弊社ズノーが制作させていただいた、不動産企業「青山メインランド」の採用動画は、WEB上だけでなく会社説明会でも再生されており、それが離職率改善につながっているとお聞きしました。
今日は、青山メインランドの総務人事部・西森隆明さんと、その採用動画を制作したズノーの映像ディレクター・瀬戸宏一との対談形式インタビューをお送りいたします。
動画制作の3つのポイント
――ズノーに制作依頼をした際には、どのようにオーダーをされましたか?
西森 ありきたりな企業PRではないものを作りたいと思っていました。瀬戸さんにはまず青山メインランドしか表現できない独自の映像にしていただきたく、3点のポイントをお伝えしました。
1点は、強みPR系。以前制作した動画では、当社の強みをアピールする部分が足りていないと感じていたので、今回はそこを全面的にアピールしたいこと。
2点目は、表現とんがり系。他社にはない差別化された動画にすることでプロモーションとしての効果がより発揮できると考えていたので、圧倒的な存在感がでるようなものを表現していただきたいとお願いしました。
そして、3点目が真実PR系。なるべく入社後のギャップを無くしていきたいと考えていました。当然、当社のいいところを動画で打ち出していきたいですが、弱い部分とかあまり表には出したくないような部分も含めた、リアルな姿を動画に入れて欲しいともオーダーしました。
青山メインランド・採用育成プロジェクトリーダー 西森隆明さん
瀬戸 初めての打ち合わせが2015年2月くらいだったと思います。私たちはおもにテレビ番組をメインに制作していますが、不動産企業の採用動画ということであまりバラエティー番組っぽいとんがりすぎた企画を出したらよくないのかなと思い、最初はとんがりを控えた企画を提出したところ「もっと振り切ったものを」とご指摘いただきまして、企画を再提出いたしました。
青山メインランド・採用動画ダイジェスト版
――「壁ドン」、「宇宙人」、「信長」、「アニメ」など、さまざまなパターンの採用動画を制作されましたが、どんな狙いがありましたか?
西森 動画を会社説明会で上映することで、当社への志望度を高めてもらうことが一番の狙いでした。さまざまな角度から当社を紹介したくていろんな動画を制作していただきました。会社説明会ではすべての動画を流しています。
瀬戸 「なまはげバージョン」という、幻の企画もありましたよね。(笑)。これはちょっと実現できなかったのですが。
西森 ありましたね(笑)。本物のなまはげを秋田から連れてきて、「悪い社員はいないか~」って言いながら、社内を回って社員のリアルな声を拾っていくという企画でしたね(笑)。
瀬戸 社内の多数決で違う企画が採用されましたが、これはいつか実現したいです(笑)。なまはげも本物を秋田から連れてくるところからリアルを徹底して!
ありのままを伝える動画が離職率改善
――動画制作時、どんな点が大変でしたか?
瀬戸 青山メインランドさんの企業風土をお聞きしたり、ご出演いただく社員の方々にお会いしたりして企画を考えていったのですが、内容があまり固くなりすぎると楽しくないですし、でもユルくなりすぎても会社の印象が間違って伝わってしまう。そのバランス感覚が難しかったですね。
採用動画を制作した ズノー瀬戸宏一
――とても驚いたのは、アニメ動画のなかで青山メインランドを「あいうえお作文」で紹介する場面があったのですが、かなりエッジの効いたぶっちゃけをされていました。「会社のいいところを全面的に伝えたい」と、いいところを過剰に盛り込む傾向って採用動画にはあると思うのですが・・・
西森 採用だけに限らず営業をするときでも同じだと思うのですが、メリットもあればデメリットもあることは当然。メリットだけをお伝えするだけでは成約までいくことはあまりないです。すべての面を理解していただいたうえで、採用でいうと選考に進んでいただいたほうが入社後のギャップも減少します。
会社説明会でも、職場のことを事実ベースで正確にお伝えしています。例えば、夜遅くなることがあるとか、営業の大変さや難しさですとか、そういうところも嘘偽りなく。
――やはりそう伝えることで、離職率にも影響していますか?
西森 はい。動画を導入してから採用ミスマッチが減り、離職率が大幅に減りました。
採用動画「青山メインランドミッドナイト」
――採用動画を制作し公開したことで、他に感じる変化や効果などありますか?
西森 ズノーさんに制作いただいた動画を公開する前は、実際に採用がうまくいっていない時期がありました。目標がショートしたり、目標の応募人数が集まったけれど採用単価が高くなってしまったり。この動画を導入してからは採用にあてる期間も短縮でき、採用単価も下げられたということは大きな効果です。
――動画を再生する順番はいつも決まっていますか?
西森 はい、決まっています。説明会を飽きさせないように適切なポイントで流します。説明会開始前の学生が席で待っている時間とか、小休憩の時間にも再生していますね。
――御社の説明会は、一回何名くらいの規模なんですか?
西森 一度の説明会では20~30名くらいです。ちなみに昨年は600名以上の学生に参加いただきました。説明会の最後にアンケートを記入してもらっているのですが、フリーのコメント欄の「動画を観て御社のイメージが変わりました」、「仕事内容も分かりやすかった」という感想がとても多くて驚きました。
瀬戸 今回制作させていただいたダイジェスト版動画はWEB上で観ることができますが、フルバージョンは会社説明会に参加しないと観られません。私はそれがすごくいいなと思っていて。動画ってYouTube再生回数が多いものがいいと考えがちだと思うのですが、説明会だけで再生するという風にして、誘導するプロモーションにも活用できる。600名の説明会参加者に動画を見ていただいたことは、私たちにとっても素晴らしい経験になりました。
女性採用を強化する動画
胸キュン!壁ドン本音リサーチ(ダイジェスト版)
――「壁ドン」の採用動画は、どんな反応がありましたか?
西森 あの動画も常識破りの企画なので、見た人はみんな笑っていることが多いです。青山メインランドでは、マネージャーの4割が女性だったり、トップセールスが女性だったり、表彰台に上がるママ社員が複数いたり、とにかく女性がとても活躍しています。そういう背景があるのでこれからも女性採用を強化していきたいという狙いがあり、女性にもっと興味を持ってもらう動画を作りたいと瀬戸さんに相談しましたら、「壁ドンで行きましょう!」と。
最初はどんな動画になるのか分からなくてハラハラしたところもありました(笑)。でも、笑いあり、リアルありのいい動画ができたので満足しています。
瀬戸 壁ドン企画では、衣装さんに「王子様の白い服」を用意してほしいと発注したら、「なんの撮影ですか?」と聞かれて「採用動画です」と答えたらかなり驚かれたのが印象に残っています。その人に同じく信長用の甲冑や宇宙人の衣装もお願いしているんですけど(笑)。
スタッフたちに動画の趣旨を伝えたとき「それ、面白そうですね!」と言ってくれて、当たり前すぎる動画にはなっていないんだと実感しながら作れました。
西森 女性社員たちがみんな乙女の顔になっているので、社内の人間に壁ドン動画を初めて見せたときは爆笑の渦でした。出演者の中には恥ずかしがってしばらく中座する女性社員もいました(笑)。
瀬戸 すごい至近距離でイケメン王子たちが話しかけますからね。女性社員の方たちには、この企画を直前まで内緒にしていたんですよ。王子たちが質問する内容も秘密。目をつぶって待ってもらって、目を開けたらイケメンがいきなり壁ドンするという不意打ちインタビュー方式です。
採用難易度は年々上昇している
――つづいては採用についての質問になるのですが、人事をご担当されていて、ここ最近採用について感じることはありますか?
西森 全体的に、採用の難易度は年々上昇してきていると思います。そういう時代の背景もあり、採用基準を下げて人材を確保している企業も多くあるようです。ただ当社としては、そういう時代の背景があっても優秀な人材を見極めて採用していくという強い姿勢で準備をこれまでずっと行ってきました。その結果、今年の採用人数は目標達成しましたし、今年入社した新入社員が半期を締めた時点で過去最高の営業成績を残してくれて、優秀な人材を採用できたんだと実感しています。
瀬戸 実は私も昨年、採用担当者に任命されて説明会や面接を行っていたんです。西森さんのご苦労が身に染みて分かりました。実際に説明会を仕切ってみて、「あ、これは動画のほうが上手く伝わるな」と思った点がとても多かったです。
会社の説明を自分自身でしていると冗長になりがちだなって思いました。実はそこが一番重要で、従業員が何名いて、男女比がこのくらいで、どんな人たちが働いているのかというのはただの数字。でも動画だったら、会社のフロアを映したりすれば、どれくらいの男女割合だとか、どんな雰囲気で働いているのかも分かる。言葉より動画のほうが情報量は圧倒的に多いですから。
――では最後に、今後の採用活動で改善したいことなどがありましたら教えてください。
西森 現在、採用に関する仕事は私ともう一人の男性社員の2名で行っているのですが、なんとなく男臭いというか(笑)。考え方もそうですし、女性の感覚が足りていない。それなのに女性採用を強化しようとしていて、難しいハードルを抱えています。
新しく女性の採用担当者を増員する計画で動いていたり、女性採用に知見のある外部コンサルに協力してもらったりして、さらに女性採用を強化していく取り組みをもっと進めていきたい。
あとは、毎週火曜日女性社員が18時に帰れる「レディースデー」という制度があるのですが、それに対抗して「メンズデー」を作りたい(笑)。男性社員にとって働きやすい環境を整えるのも大切ですから。別にメンズデーじゃなくても、「プレミアムフライデー」とか「バースデー休暇」とかでもいいんですが。
瀬戸 でも「メンズデー」のほうが、響きとしては面白いですね(笑)。
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